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課長は眼鏡を外すとそっとテーブルの上に置いた。
「ご両親に安心してくださいと言っておきながらこういう事をするのは宜しくないのですがーー」
続きの言葉は聞こえなかった。
課長の唇が私の唇へと重なったから。
「君が今、確かにここにいるんだってこと感じさせて?」
そう言って、一瞬離れた唇はまた重なり何度も何度も啄むように唇を甘噛みされる。
突然のこと過ぎて、今起こっている状況に頭がついていかない。
だから目を閉じるのも忘れてて、課長の軽く伏せられた目が溜まらなく色っぽくて……
「目は閉じて…そして、口もう少し開けて。」
課長に唇が触れそうな距離で囁かれ、まるで催眠術にでも掛かったように素直にその通りにする。
すると、一気に深いものへとそれは変わった。
何度も角度を変えられ、その度に課長の舌で私の口内は満たされる。
頬に添えられていた課長の手は私の後ろ髪に差し込まれ完全に頭をロックされている。
いつだってクールな課長からは想像もつかないくらい激しくて、息も上手く出来ないくらいだ。
君がここにいるんだってことを感じさせてと、さっき聞いた言葉を思い出し思わずきゅっと課長のシャツの袖を掴んでしまう。
自分の家のリビングで課長とこんな濃厚なキスをしているなんて信じられない。
現実離れした状況なのに、それでも課長から伝わる熱は確かなものだと分かる。
「っ、ぅん……」
苦しくて思わず声が漏れ恥ずかしさが込み上げてくる。
すると、すぅっと、唇が離れていく。
その瞬間、もっとって強請りたくなる私はなんて欲深いのだろう。
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