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「桃原さん、」
「はい?」
「僕は君の事が好きだ。」
ずっとずっと聞きたかった言葉。
課長に私の思いを伝えたかった。
それだけで良いと思ってた。
思ってたのに。
目の前にいる課長が私を好きだと言ってくれてる。
好きだとかそう言うのは戯言だと言ってた課長が私を好きだと言ってくれてる。
だから、私も伝えなきゃ。
「課長…わ、わた、私も、課長のこ、とっ」
私の気持ちもちゃんと伝えたいのに涙が溢れてきて上手く言えない。
「桃原さん、好きだ。」
「か、ちょぅ…ぅっ」
「好きなんだ、君の事が。」
「ぅ、ん…」
もうただ、頷くしか出来ない。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られるのが恥ずかしくてつい、俯くと。
「顔、見せて。」
課長に顔を上げられる。
「恥ずかしいです…。」
「確かに。酷い顔だ。」
「もぉ……っ。」
そう言って優しく微笑む課長の顔が滲んでよく見えない。
嬉しいのに涙が止まんないよ。
「だけど、それでも僕は今の君の酷い泣き顔がが愛しく思えてしまう。」
ーーー恋とはなんとも恐ろしい…
まるで、他人事みたいにそう言うと私の目元に零れた涙を吸い取りまたその唇は重ねられた。
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