SIDE 課長、三鬼直太朗

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*** ソファに座り、母の名刺をじっと眺める。 赤い爪をしておにぎりを作っていた母。 いつだって化粧をきちんとしていた母。 そんな母に抱かれると甘い香水の香りがいつだってしていた。 「今度は母に彼女を紹介しようか。」 らしくない事を口にしてみると彼女から電話が。 恐らく公開処刑から漸く解放されたのだろう。 「はい、三鬼です。」 ーーーカチョー、三鬼ですとかって言わなくても分かってますよぉ。カチョーに掛けてるんでしゅから。 「酔ってるんですか?」 ーーーどう思いますぅ? 「今、どこです?車で送ります。そこまで迎えに行くので場所を教えて下さい。」 全く、雉原が付いてながらどうしてこんなにも飲ませた? ーーーカチョー、私はどこにいるのでしょうかっ。 駄目だ。会話にならない。 「とにかく、直ぐに車を出します。そこから動かないでください。それと何か近くに目印は?」 そう言いながら上着を羽織り、キーを手に持つ。 しまった、風呂上がりで靴下履いてない。 ったく。 「桃原さん、大丈夫ですか?それで何か周りに目印見つかりましたか?」 頼むから安全な所にいてくれと願うしかない。 ーーーカチョー、あのれすね、目印っていうんですかねぇ。ありますよ。 「なに?どんなの?ビルそれも公園とかですか?」 ーーーあぁ、カチョーがとかって言ったぁ。とかって曖昧なヒョーゲンはいけませんっ。って前に言ってたのにぃ。 「ああ、もう、分かりました。僕が悪かったです。それで何が見える?」 何とか靴下を履き、リビングを出ようとした時 ーーーえっとぉ、カチョーんちが見えた。 「はあ?」
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