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「昨夜は随分、飲んでましたね。」
「えっ、ああ、まぁ。その場の状況に耐えられなくて…つい、お酒に逃げたというか、酔って忘れようと思ったというか。」
課長にマジマジと上から見つめられ目が合わせられない。
「女性が酔っ払って夜道を歩いて危ないとは思わなかったのですか?君の危機管理は一体、どうなってるんです?」
き、危機管理って…
「返す言葉もありません…。」
寝起き説教と寝起きドッキリならどちらの方がまだマシなのだろう。
課長のお説教を受けながら、そんな事を考える。
「とは言え…」
「ん?とは言え?」
「君が酔った勢いでここに来てくれたお陰でこうして朝を迎える事が出来た。チベットへ修行に行かなくて済みそうです。」
「課長…、そのさっきからチベットとか修行とかって?」
「桃原さん…そこはスルーでお願いします。とにかく、今日こそ君の全てを僕にくれますか?」
「課長、はい…と言いたい所ですが私、ご存知の通り昨日のままなので、えっとなんて言うか…」
「僕は構いませんが。」
「いや、私が構います。」
「どうして?」
「いや、そりゃそうでしょ?」
「桃原さん、問題定義は速やかに。」
「……、ぉ、ふ………せんし、………から。」
「桃原さん、何を言ってるのかさっぱり、分かりません。言いたい事はハッキリと。」
あさイチで受けるアイスビーム。
「だから、お風呂も入ってないしそれに下着もちゃんと用意してないからって言ったんですっ!」
んもぉ、なんでこんな事まで朝から叫ばなきゃなのよ。
乙女心、ちょっとは理解してよね?
なのにーーー
「それがどうかしましたか?」
はあ?それがぁ?
「どうかするから言ってるんでしょーがっ。」
「はぁ…全く持って意味が分かりません。風呂なんかどうせ今から抱き合えば汗かきますし、事が終わってから入ればいいじゃないですか。それに下着だってどうせ脱ぐんですから……」
「課長のバカッ。」
私はベッドから飛び降りた。
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