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「……お風呂、ありがとうございました。」
課長に借りた短パンと大きめのTシャツを着てリビングに来ると
「やはり、僕のでは少し大きいですね。お水どうぞ。」
そう言って水の入ったペットボトルを渡された。
ソファの端っこに遠慮がちに座ると一口水を飲む。
雉原さんに渡された小袋の中にはお泊りセット一式が入っていた。
とても大人女子なランジェリーとともに…。
「課長、」
「桃原さん、」
「ど、どうぞ。」
「いや、君から先にどうぞ。」
「じゃぁ…、えっと、さっきはついムキになってしまってすいませんでした。課長のこと、バカなんて言って。」
「いえ、僕も大人気なかったなと反省しています。」
微妙な空気に耐えられない。
「服、そろそろ乾いたかな。乾燥機見てきます。」
その場から離れようとしたら
「待って。」
と、腕を掴まれもう一度ソファへ座らされた。
「待って、たんです。この時を、」
そう言いながら私を抱き寄せる課長。
「課長…」
「桃原さん、ここでは駄目なんですよね?」
「…はい、ソファはちょっと。」
「了解しました。ならば、」
と私をヒョイと抱き上げると寝室へ入っていく課長。
「ぃ、いやぁっ、降ろしてくださいっ。重いから降ろしてっ。」
「重いのは知ってます。前に倒れた時もこうして抱きあげたので。」
「そこは嘘でも重くないって言ってください。」
恥ずかしくてまともに顔が見れない。
課長に抱きかかえられ俯いていると、ベッドの中央へそっと降ろされた。
「あ、の…、明るくて…カーテン閉めて欲しいなぁなんて。」
ギシっとベッドがきしむと課長が私に覆い被さってきた。
「直ぐに明るさなんて気にならなくしてあげますよ。」
ーーーもう待てないんだ
そう言うと課長の唇が重なった。
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