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けれど………
一向に私の唇には何も降ってこないんだけど。
それどころか降ってきたのは何とも言えない課長の冷たい言葉。
「肌荒れてますね、桃原さん。」
「えっ?」
慌てて目を開けると
「ちゃんとビタミン摂ってます?」
未だ目の前にある整った顔の課長が聞いてくる。
ついうっとりしそうになるくらいのイケメンだなぁと改めて思うのも束の間、課長の氷の矢の様な言葉はまだまだ私の頭上から降り注がれる。
いや、突き刺さってると言った方がいいような気が……。
「睡眠不足もある様ですね。特に目の下のクマが酷い。とてもじゃないけど、20代とは思えませんね。」
「課長?」
私、今さっき、告白したよね?
何気にこれ、私の告白を無かったことにされてる?
「まっ、ここの所、業務がキツかったのでそのせいもあるかもしれません。今日は早く帰った方がいい。」
そう言うと漸く私の顔から課長の指が離れていく。
その瞬間、一気に顔に集まっていた熱が急速に冷めていくのが分かった。
もしかして、からかわれた?
違う、そうじゃなくてーーー
「それが………、課長の返事ですか?」
鼻の奥がツーンとなるのを感じながらも何とか聞き返した。
私、遠回しに断られたんだ。
現に私の問い掛けに課長は何も言わない。
そっか、振られたって事か。これも課長なりに私を思っての断り方なのかもしれない。
多少強引でもそう思うことにする。
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