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「宗太さま。式部宮家の左近少将、隼人さまより琵琶の練習のお誘いが来ておりましたが、いかがなされますか?」
寝床の片付けが終わった有佐が朝食を食べている僕の向かいに座る。は?今、隼人って言った?
「んん…… じゃあ、行ってみようかな。先触れをお願い」
「かしこまりました」
有佐は僕が食べ終わった朝食のお膳を持って部屋から出て行く。どう考えても、僕が主人で有佐が侍女だよな。なんか上位に立ってるって、どこか気分がいい。
(お待たせ、アンジェラ。いいですよ)
実はさっき、朝食を食べている時にアンジェラからテレパシーが飛んで来ていた。今はご飯を食べていて、さっきの侍女が部屋にいるから後で連絡すると答えておいたのだ。
(あなたが置かれている状況がわかりました、宗太郎。あなたは今、平安時代の京都にいます。時空を超える段階で、宗太郎だけ西暦の千の位が飛んでしまったようです)
(やはりそうでしたか。どこかで平安時代っぽいなとは思っていたのですが。僕自身についてのことって、わかりますか?)
(あなたが思うとおり、やはりどこか立派な貴族のようです。詳しい名前までは、まだ調査中ですが。それに……)
(なんですか?)
(言いにくいのですが、どうしても修復の術が見つかりません。最悪、期間を満たす28日間、そちらでの生活をお願いすることになるかも知れません)
(はぁ…… それはそれは。あ、アンジェラ)
(はい)
(もう1人、聞いたことのある名前の人物が現れそうなんです。高校、大学の同級生、隼人と同じ名前の者から楽器の練習に誘われました)
(なるほど、そうですか。今後も、あなたが知っている人物が現れる可能性があります。その都度連絡をください)
(わかりました。早速ですが、その隼人とか言う左近少将を名乗る者の家に向かうことにしました)
(行動は宗太郎にお任せします)
(OK。ありがとう)
さて。じゃあ隼人の家に向かう支度をしようか。
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