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アンジェラの城で天使達が話をしていたとおり、宗太郎は大きな森の中で陽暮れを迎えてしまっていた。
アンジェラの森は、陽が暮れれば漆黒の闇に包まれてしまう。そうなってしまうと身動きが取れなくなる。
森の散策中に陽暮れを感じた宗太郎は、まだ明るいうちに横になれる場所を探し始めた。
そして良い塩梅の大木を見つけて闇になる前に身体を横たえたのである。その大木が、ミカエルが言っていた『パウロ』であることも知らず……
パウロとは宗太郎と同じようにどこかの世界からやって来たニンゲンであるが、なぜか「アンジェラ」の地では樹の姿をしている。
悪戯好きなパウロは自分の足元に近付くものを違う次元── 世界へと誘ってしまう悪癖があるのだ。
アンジェラの地には大きな森がたくさんあり、その森には幾千幾万もの樹々が生い茂っている。その中で運悪くパウロの根元を選んでしまった宗太郎。
それは偶然か奇跡か運命か、誰かの意図なのか…… パウロにとって宗太郎は格好の餌食。早速、魔の触手が宗太郎を襲う……
漆黒のアンジェラの森。その中で、宗太郎の身体を包み込むような柔らかな光の球体が現れ、その場所だけが優しい光に包まれている。
やがてその光は徐々に強さを増し、ついには光の中にいる宗太郎が見えなくなるどころか、あたりが昼間のように明るくなるにまで至る。
しばらくその状態が続いたが、今度は徐々にその光が弱まり始まる。そして光が消える頃、宗太郎の姿さえも消えてなくなってしまっていた。
「本当に…… これでよろしいのですね」
漆黒に戻った森の中に、腹の底に響くような低い声が轟く。
そしてアンジェラの森は、普段どおりの夜を取り戻した。
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