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鉄製の長剣、どこに当てても一撃で相手に致命傷を負わせることが出来る。
単身奮戦し賊徒を寄せ付けない。体格が優れ、武器を持っているだけで剣技に多少自信が無かろうと素人と戦うならば充分だった。
だが多勢に無勢、ついには捌き切れなくなり負傷してしまう。
「くそっ! 俺はこんなことでやられはせんぞ!」
県令という立場を得ている自負が強気にさせた。人生これからというのに、このような何も無い場所で討ち死になどしてやるつもりなどこれっぽっちも無い。
無様に剣を振り回し賊を追いやる。息が荒れ、囲んでいる敵は数を増した。
流石にこれ以上はきついと感じる。味方の抗戦する音も次第に少なくなっていくのが解った。
不利になれば兵は逃亡する、そうさせないために将が居るのだが、この暗闇でどこに誰がいるのか全く分からない。
一斉に孫権に襲い掛かろうとする賊徒、その衆を割って切り傷を全身に負った男が一人乗り込んできた。
「この賊徒ども、周泰(シュウタイ)が来たからにはこれ以上好きにはさせんぞ!」
大きな剣を振り回し、寄せて来る賊を次々に切って倒す。
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