第1章

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 自分だけならまだしも、周泰は孫権を庇いながら戦う。そのせいで全身くまなく傷を受け、無事な箇所を探す方が難しい程痛々しい姿になってしまった。  自身の血溜まりに足を濡らしながらも、周泰は夜が明けるまで賊徒を防ぎ続ける。 「朝が来る、野郎ども引き上げるぞ!」  いつまでたっても倒れない男を相手にこれ以上被害を出すのは無駄だと判断した祖植が撤退を命じる。  賊が廃城のある丘の斜面を下っていく。その姿が見えなくなるまで睨み続けていたが、全員が逃げ出すとついに周泰はその場に倒れた。 「周泰! 周泰しっかりしろ!」  剣を捨てて彼を助け起こす。傷口に布を当てて呼びかけ続けた。 「若……」  うなされつつも孫権をおもんぱかる言葉を発した。  孫権はすぐさま県城にとって返し彼を治療し、安静にさせた。  周泰は何日も気を失ったまま高熱を発し死の淵を彷徨う。孫権は日々容体を確認し肩を落とす。  だが数日の後についに意識を取り戻したと耳にする。  全てを後回しに周泰の居る部屋へ急ぎ、彼の隣に行くと手を取った。 「君は私の命の恩人だ。私が恩を返すまで決して死んではならんぞ」
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