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数十年の時が流れる。
江東の覇王が没し、孫権が王となって中華南東を支配する時代がやって来る。
多数の士が宮廷に集い善後策を練り、魏と蜀にどのように対抗するかを討議する日々が続いた。
ある時孫権は一つの報を耳にする。名家の将、徐栄や朱然が一軍を率いて居るが主将の命令に従わないと言うことを。
「そうか。主な者を広間に集めよ」
文武の百官が王の召し出しにより居並んだ。何か重大なことがあるに違いないと全員が気を張っている。
「陛下、諸将揃いまして」
孫権が玉座についたところで場が開かれる。
頭を下げていた皆に前を向くように言いつける。それぞれの顔を一瞥すると告げた。
「大将・周泰、大将・徐栄、大将・朱然前へ」
軍団の将軍を呼び諸将の前に引き出した。片膝をついて畏まる三人に立つように言いつける。
玉座から立ち上がり、孫権は目の前の階段を一段一段ゆっくりと下る。
皆の視線が集中する。三人が何かよからぬことをしたのだろうとの先入観があったのだ。
身分が卑しい周泰との間に軋轢があり、軍務が滞りを見せていたのが理由だ。
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