鑑定依頼

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仕事は占術協会から依頼が来るのね。 だから私たち鑑定師は全員 占術協会の「顧客リスト」を持っているの。 登録者数はかなりの数よ。 私は、乙女師匠の家に住み込みで、 鑑定部屋をつくって住んでいて、 私の助手の神谷は近くのアパートに住んでいて 毎日通ってくるわ。 そう、私には助手がいるの。 神谷真一、28歳。 独身。 私の事を「先生」と呼ぶわ。 父親が私を監視するためによこしたのよ。 九鬼家の犬なのよ。 私の事を、定期的に父親に報告するみたい。 こいつが笑っちゃうくらいリアリストで 見えない世界を信じない、まともな普通の一般人。 でも最近すこし変化がみられるのは、 「見えない物は全然信じない」から、 「見えないけどいるに違いない」に変わってきたように 感じるの。  ま、どっちでもいいけどね。 報酬は父親からもらってるようなので、 じゃんじゃん、こき使ってるわ。 実務的なことはなんでもできるので とっても便利なの。 便利といえば、私の守護のトミーね、 「霊体」もしくは「神様」が近くにいるときには、 霊毛がアンテナみたいに逆立つの。 私よりも先に感じるみたい。 だからとっても楽なの。 それで、「クッキーの出番だにゃー」とかいう。 「クッキーって何よ! 人をビスケットみたいに言わないで! あるじーって言うんじゃないの?」っていうと、 「我は指導霊なのにゃ~。 これでいいにゃ~。 「ひとみ」は我がもらったにゃ? だから「くき」しか残ってないにゃ」 わけわかんないけど、 そういうことで、トミーは私の事を 「クッキー」と呼ぶの。 やっぱり、名前はピョン吉にしておくべき だったわ。
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