始まり終わる悪魔の店

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「くだらないプライドをお持ちのようで……弱くて才能がないものがよく言うんですよねぇ、その言葉自分自身の力で勝ちたい、そうじゃないと価値がないとね。はっきり言いましょう。この世界ではそんなプライドを持つ者は潰れていくんですよ。いくら努力しても敵わないことを知ってしまい最後には自殺する……そんな世の中なんです。姑息で卑怯なものが成功するのは当たり前、 例にお金持ちを想像してください。どんな事件を起こしても金さえ渡せば裁判で負けることはない。栄光も名誉も金さえあれば何もかも手に入れられる。努力なんて馬鹿のすること努力して自分より上の者を倒すなんてことは漫画やアニメの中だけなんですよ。仮にそれができたとしてもそれは生まれ持った才能のおかげ……それでも貴方はくだらないプライドを持ち続けますか?」 「うっ……」 言葉に詰まる。俺は心の中ではそう思っているところがあったので何も言い返すことが出来なかった。 「如何します? このチャンスを貴方は逃しますか?」 男は薬をこちらに見せ付けてくる。駄目だそんなこと……そう思いながらも俺はいつの間にかその薬を手に持っていた。 「良かったですね。これで貴方も歴史に名を残せますよ」 男は満面の笑みで俺に言ってくる。 「いくらだ。この薬は」 「ふむ、今の貴方では払えないぐらいです」 「はぁ!?」 その言葉を聞いて俺は咄嗟に薬を箱の中に戻そうとするが男に手を掴まれ邪魔される。おかしい俺は弱くともボクサーだぞ!何でびくともしないんだ!? 俺がどんなに力を込めてもびくともしない。それどころか男は笑いながらこう言った。 「これが貴方の実力ですよ。分かりましたか? 鍛えてもない凡人に力で負けるぐらい貴方は弱いのです。この薬に頼らなくては貴方に未来はありません。心配しなくても代金は今は要りませんよ。貴方がプロのボクサーとなって優勝しまくれば簡単に支払える額ですよ」 「くっ……!」 男の言う通り、見た所男は鍛えてもいないただの凡人だ。それを力で押し返すことが出来ない自分は弱いのかもしれない。でも、この薬を使えば…… 「そうです。この薬さえ使えば貴方はすぐにプロになれる」 男はポケットから箱の中に入っている薬と同じ物を出すと俺に差し出してきた。そして俺はその薬に手をだした。
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