5章 猛将の企み

5/31
前へ
/31ページ
次へ
あたしはきっと頭が可笑しくなってしまったんだ…… 異国の風にあてられて、誘拐されて躰を自由にされて……きっとそうなんだ…… 唇を塞がれた感触がとても気持ちいい。腰を抱き締める逞しい腕にぞくぞくと躰の奥が痺れてくる。 風に踊らされて舞う髪をすくう指先。愛美はいつしかその身をザイードに預けていた。 毎夜、この男に抱かれることが当たり前のようになっている。それがまるで寝る前の儀式でもするように── そして、愛美の躰も── 「いつも触れる前から濡れている……」 「……っ…」 バルコニーで立ったまま、衣服の裾からゆっくりと忍ばせた指先を愛美の秘部に添わせ、ザイードはそう耳元で囁いた。 「自分で慰めていたわけでもあるまいに……」 「あっ…」 掠めるように敏感な先をなぞっていたザイードの指先が、軽く尖端を弾いた。 腰が砕け掛けた愛美を支え、ザイードは恥ずかし気に唇を噛む愛美を覗き込む。 そして、満足そうに視線を緩めた。 感じていながら必死に耐えて羞じらうこの表情がたまらない。 この顔を眺め、じっくりとまた責めたくなる。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

293人が本棚に入れています
本棚に追加