293人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッドの中での仕草なら、ハレムの女達のほうが確かに艶を纏っている筈なのに、何故にこんなに夢中になってしまうのだろうか──
ザイードは愛美を抱き上げる。寝室のマットにその身をそっと横たわらせるとザイードは愛美の上に覆い被さった。
「夕食はあとでも構わぬか……」
「………」
どう答えようと、抱くくせに……。愛美はそう思いながら首筋に顔を埋めたザイードの唇の感触に目を閉じた。
強引なくせにちょっとしたところで優しさを感じてしまう。
肌に口付けながら触れる手がとても熱いとか、少しずつ荒くなっていくザイードの呼吸に自分自身も何故か胸が甘く痺れたりとか、味わったことのない感情がじわじわと躰を侵食していく──
「はあ…っ…マナミ…」
逞しい躰を揺らし、腰を大きく前後しながらザイードは熱い溜め息を吐いて愛美の頬に手を添えた。
漆黒の濡れた瞳を細めるとザイードは少し苦し気に眉を寄せる。
愛美はザイードのその切ない表情に胸が高鳴った。
動きが激しくなるその背中に愛美は無意識に腕を回す。
ザイードの荒い呼吸を追うように、愛美も息が上がっていく──
快楽の波が押し寄せて声もなく痙攣する愛美の唇を塞ぐと、ザイードの躰は強い震えを数回迎えた。
最初のコメントを投稿しよう!