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『こんにちは。お客様でしょうか』
『あ、あぁはい。一応客です…』
カウンターから聞こえた声は、年季を感じる老人の声だった。
お客様でしょうか、とは冷やかしだけの輩が多いせいだろう。それにしても奇妙なやり取りだ。思わず苦笑してしまう。
『好きな席にお願いします。今は…いや、多分しばらくはお客様一人の貸し切りでしょうな』
少し暗めの店内で、軽く笑うのが見える。
客は見た所本当に一人も居ないようだ。
だからと言って、大きな椅子と大きなテーブルを一人で使うほど、僕の肝も据わっていない。
カウンターの小さな椅子の一つに腰掛けた。
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