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『これは…?』
『願いを叶えるコーヒーです。お客様が叶えたい願いはなんですか?』
僕は少し躊躇していた。
願いと言っても、人に話すには恥ずかしい。それが知り合いでもない老人ともなればなおさらだ。
しかし、よくよく考えてみれば、この老人も願いを叶えるコーヒーとか、表情一つ変えず言っていた。
…ならば、乗っかるのも良いかもしれない。
覚悟と呼ぶにはあまりにも小さい決心をして、願いを話した。
『僕、彼女がいるんです。付き合って半年になりますね…』
『それはそれは。』
『ただ、初めての彼女で…どうしたら良いのかよく分からなくて、手を繋いだ事もキスした事も無くて…』
『ははは…いえ、すみません。成る程、つまり彼女ともっと彼氏彼女としての関係が欲しいというわけですね』
『…はい』
やはり恥ずかしくてたまらなかった。
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