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後ろのドアは開かないし、他に行ける場所もない。
将は導かれるように一歩、また一歩と正面のドアへと近づきドアノブに手をかけた。
ゴクリーー。
自分の唾を飲み込む音がハッキリと聞こえた。
この先に何があるのか見当も付かない。
この部屋の様子からして悪い予感しかしない。
「でも、開けるしかないんだよな。」
覚悟を決めた将はドアをゆっくりと開けた。
ギギィーーー。
中は真っ暗で何も見えない。
「いらっしゃい。」
「ひぇあっ!」
不意に聞こえた声に何とも情けない声を出し、肩を弾ませて驚いた。
「ははっ。そんなに警戒するなよ。」
声の聞こえる方を見るとうっすら人影が見えてきた。
背丈は俺と同じくらいで全身黒い衣服を纏い、顔はフードを深く被っていて見えない。
「こ、ここはなんなんですか?」
「ここか?"お店"さ。客が来るのは随分と久しぶりだ。」
「何のお店なんですか?こっちの部屋にある白骨死体はなんですか?何故、こんな所に?」
はぁ、と面倒くさそうに溜息を吐き店主は将の元へ近づいて来た。
「質問が多いなぁー。まずお話しよう。君の名前は?」
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