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「米田、将・・・。」
「そうか将くんか、よろしくな。君はどうしてここに?」
「雨のせいで足を滑らせて崖を落ちて・・・。当てずっぽうに歩いていたらここに辿り着いたんです。」
フードの彼は顔をすれすれまで近づけてうんうんと頷いた。
「そうかそうか、それはかわいそうに。」
「あ、あの・・・こっちの質問にも答えてもらっていいですか?」
こちらばかりが質問に答えてばかりで気分が悪い。
「もちろんいいけど、1つずつで頼むよ?」
「ここは、何のお店なんですか?」
彼は部屋を歩き回り、壁に設置されていたロウソク一つ一つに明かりを灯しながら質問に答える。
「お店の定義とは何だろう?きっとお客さんに対して何かを提供する場、それを人は店と呼ぶ。そしてこの店で提供しているのは、新しい君だ。」
「新しい、俺?」
部屋のロウソクは全て灯りはっきりと全体を見渡すことができた。
さっきの部屋と比べてひと回り小さく、中央に椅子が置いてある以外には何もない。
「あぁ。・・・君は、誰だい?」
「俺は将・・・ですけど?」
彼は椅子に座り足を組んだ。
「つまんねー答えだな。確かにここに実在する君は君の思う米田将だ。でもそれって、本当の君?」
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