始まりは鮭オニギリ

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小腹がすいたな。 と、いうことで俺はサンダルをひっかけ、玄関のノブに手を掛ける。 「うわっ!! 静電気!!」 その瞬間、指先に走るピリッとした刺激に咄嗟に手を引っ込めた。 ついでにふと、思い出す。 「あぁ、そうだ」 そういえば財布に金、入っていたっけ? なんて考えつつ小銭入れを確認して、思わず苦笑した。 所持金、300円。 まぁ、問題ない。 そこのコンビニでオニギリ買うだけだし。 「ちょっとそこのコンビニ行ってくるーっ」 一応、そう声を掛けてから改めて玄関を開けて俺は足を踏み出した。 いや、正確に言おう。 踏み出したんじゃない。 踏み外した、だ。 「って、なんじゃこりゃぁぁぁあああああああッ!?!?」 人間、不測の事態に陥ると逆に冷静になるって言うけれど。 最早そんな生易しいものじゃないって言うか。 冷静に考えて、アリエナイ現実っていうか。 いやもうこれ自体が現実なんだか幻覚なんだか良くわからないんだが。 「うああああああああああああッ!?」 家の玄関から一歩踏み出したそこに地面がなかったんだ。 そう、俺が踏みしめるべき大地がだな。 ナカッタんだ。
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