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混乱しているうちにウォータースライダー(仮)は終着を迎えてくれたらしい。
滑り落ちた先は水の中……いや、お湯の中?
ザバンと小気味の良い音を響かせながら、足の先から頭まですっかり沈んでしまっている。
人間っていうのは不思議なもんで、こんな意味不明な状況だって言うのに、酸素を求めて俺の体はもがいていた。
「――――って、死ぬ!!!!」
ハフッと水面に頭を出すと、胸いっぱいに酸素を取り込む。
「ん? 息が苦しいって事は……生きてるの、か?」
そこでようやく気がついたんだが……。
うん、思っていたより浅いな、ココ。
水底に足をつけて立ってみれば、胸元辺りまでしか水は無かった。
まぁ、水ってよりお湯に近い温度だったりするけれど。
何にせよ取りあえず生きているらしい。
多分、死んでいなかったってことで脳内処理しておくとしよう……。
顔の前で両の掌をジッと見てから、握ったり閉じたりしてみたけど問題なく動いている。
次いで顔をあげ、視界に飛び込んできた光景に息は飲んだけど。
「んなっ!?」
俺の、目の前には、金髪の美女がっ。
うっすい布切れ一枚巻きつけただけの姿で、両手を広げて満面の笑みで立っていたのだから。
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