サトー電子工業(株)

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その日、いつも通りの昼休み前。社員一同が背伸びをして、それぞれが昼食に散っていった頃、丸橋は机の周りをぐるぐると回りながら、事務課の杉下の机に向かっていた。 丸橋「お疲れい、れなちゃん!」 杉下は、机に向かって、パソコンを打ち込んでいた。 杉下「おつかれさまでーす」 杉下はパソコンを見ながら答えた。 丸橋「ほんまに、今日はつっかれたなぁ、こんな疲れた日は、どっか美味しいもの食べて、午後に備えて栄養補給せなあかんな」 杉下「そうですねー」 丸橋「俺な、めっちゃ美味しい寿司屋知ってんねや、一緒に行こうや」 杉下「回ってますか?」 丸橋は、笑顔のまま顔を上下に揺らした。 丸橋「は?」 杉下「お寿司」 丸橋「お寿司?」 杉下「回ってるお寿司ですか?」 丸橋は両手を交互に回して、回っているお寿司を表現した。 その自分の手を見て、納得するようにうなづき始めた。 丸橋「お寿司は回ってますね、回ってるお寿司です」 杉下「じゃあ、いきませーん」 丸橋「何でやあ、そこの寿司屋、めっちゃネタが旨いねやぁ、怜奈ちゃんにぜひおすすめしたい!」 杉下「わたし、食べ物が回るところを見ると、食欲なくすんです」 丸橋「あぁ、そうですか・・・」 丸橋は肩を落としながら杉下の机から去ろうとする。 しかし振り向きざまに 丸橋「全部、オーダー取るから、それでも駄目?」 そんな二人の様子を、開発課の飯塚と長井は、 同情の眼差しで見ていた。 長井「丸橋部長、また杉下さんを誘ってたんですね」 飯塚「あのおっさんもよくやるよな、妻子持ちのくせにな」
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