ファインダー越しの想い

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少し早い時間だったが食堂に入ると何人かの先客がいた。 やはり話題の中心にはモノクマに与えられた新しい“動機” 『トワイライトシンドローム殺人事件』 動機とヤツが銘打つものだ、きっとまたコロシアイにつながるようなものだろうから、絶対にプレイするんじゃねーぞ。そんなことを言っている左右田の声が耳に届く。 そう、きっとあれはコロシアイに繋がってしまう。そして恐らく、狙われるのは。 みんなに黙ってプレイするなんてアタシらしい行動ではないかもしれないけれど。 考えすぎかな? でも、モノクマは最初にクリアしたヤツにはクリア特典があるって言ってた。 アタシはそれを受け取っていない。つまり、他に最初にアレをクリアしたヤツがいるということだ。 それは、多分、九頭龍だろう。 大丈夫、話し合えば分かってくれる。きっと。 あれこれ考えているうちに全員が食堂にそろったようだ。全員といっても、十神、花村、狛枝、九頭龍の4人はいないのだが。 「いただきます」 ここに来てからこんな状況でも、こんな状況だからこそみんなで朝食を食べよう、その提案は十神によるものだった。その十神はもういない。 それでも、アタシたちはアイツの希望を受け継いでいかなければならないんだ。 「ねぇねえ日向くん、この後少し時間あるかな?下のフロントに対戦専用のゲームがあってね、あれ面白そうだから少し付き合ってほしいんだけど」 ご飯を食べる手が止まる。 無意識にその会話に神経が向かう。 「あれ~おねぇ具合でも悪いの?なんかぼーっとしてるし、ご飯も進んでないみたいだけど」 「あ、いや、何でもないの日寄子ちゃん、ちょっと考え事してただけだから」 「ふ~ん、なんか今日のおねぇちょっと変、心配になるな」 「ごめんね、もう」 なんか変だ、気が付きたくないことに気が付いてしまいそうで。 そうじゃない、もう気が付いてしまっていることを、気が付いていないフリをしようとしている。 そんな自分が、嫌なんだ。
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