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「犬ってさ、びっくりしたときの反応がおもしろくて驚かすのをやめられないんだよな」 「ひどい。ただでさえ、落ち着きないって思われてるのに、あそこでコップ割っちゃったらますますランク落ちしちゃう」 「なんだそれ」 人の間を縫って歩きながら、戒斗は呆れたようにつぶやいた。 「戒斗、どこ?」 叶多はゆっくりと先導されながら、ふとどこへ行くのか聞いていなかったと気づいた。 「父さんのところだ」 「……だれの?」 「おれの」 叶多はぴたりと止まった。 合わせて戒斗も立ち止まる。 「……戒斗」 「ちょっとした報告だ」 「ここで?」 叶多の不安な表情を見て、戒斗は口を歪めた。
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