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征治(セイジ)が昼食を終えてオフィスへ戻ると休憩室の方から楽しそうな女子社員の声が聞こえてきた。
「やーん、すごく優しそうな人じゃん!」
「式はいつ頃の予定なの?」
ああ、誰か結婚でも決まって同僚への告知のシーンなんだな。
今時、結婚退職しないよな?いや、デキちゃった婚だと近々あり得るかもしれない。欠員補充を予測しておかなければいけないな。
そんなことを考えながら自分のデスクへ向かう。が、辿り着くまでにドアが開放された休憩室から姿を見つけられたらしく、女子社員達から声が掛かった。
「松平さーん、原田さん結婚が決まったんですってー」
せっかく呼んでくれたのだから相手をしないと。皆から王子スマイルと呼ばれる笑顔を貼り付け、休憩室へと進行方向を変える。
「原田さん、それは、おめでとう。どんな人なんだい?」
「えっと、同じ大学の先輩で、今は信用金庫に勤めてて・・・」
「ラガーマンなんですって!かっこいいですよね!」
「もう5年も付き合ってたんですってー」
「もー、幸せそうな顔しちゃって!」
本人がまだ話し終わらないうちから周りの女子がかぶせて話すからうるさいが、女子は勝手に話を進めてくれるからある意味ラクだ。
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