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「今度は何を思いついたんです?」
「昨日、宝探しの旅に出ててさ・・・」
ワクワクした気持ちが抑えられない様子のこの男はこれでも社長であり、征治の恩人でもある。
父親は一代で立ち上げ上場まで果たした会社の社長で、その息子らしく頭脳明晰でバイタリティーに溢れた天才肌の男だ。
大学在学中に作ったゲームコンテンツがいけると踏むや否や、5年で倍にして返すから一千万貸してくれと父親にせまり会社を設立した。
はたして、設立した「ユニコルノ」のゲームは大ヒットし、3年で父親からの借金を返し、その後も様々なスマートフォンアプリからデジタルコンテンツの配信、最近ではICT化を進める学校に教材を配信するサービスや、そういうものが全く苦手な教師のための講師派遣も手掛けている。
あまたある競合他社との激しい競争に負けずに成長できているのは、やはり社長の発想力に拠るところが大きいと征治は思っている。元々は技術屋である山瀬だが、好奇心が強い子供のようなところがあり、面白いことを探すのが大好きなのだ。
きっと昨日も何か新しいものを探して、本屋にでも行ったのだろう。
「聞いたこともない作家と小さな出版社なんだけどな。ほら、最近本屋の店員がレビューを書いて貼ってたりするだろ?それがちょっと目を引いたんだ。
『幸せ探しの達人が贈る爽快な物語。読み終わったあなたはきっと笑っていて明日はいい日だと思えるでしょう』だったかな?とりあえず何冊か買って帰る中にこれも入れたんだ。
読んでみたら確かに面白くてさ。かなりの登場人物がいるんだが、皆が最後にはそれぞれの幸せを見つけるんだ。それがちょっとありきたりでなくて、それが幸せだと全く気付いていなかったものだったりしてさ。
確かに読み終わった後に笑ってたんだよ、俺。」
どんな話か今の説明ではよくわからないが、この小説をどうにかしたいのだろうか?
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