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征治はユニコルノで、社長の秘書業務と総務、人事全般を担っている。
父親の起こした問題のせいでどこにも就職が決まらず困っていたところを、大学の先輩である山瀬に拾ってもらった。
征治が入社した6年前は、正社員はたったの5人で、征治は一人で経理を含めありとあらゆるスタッフファンクションをこなした。というのも、征治以外の者は山瀬と一緒に会社を立ち上げた技術屋ばかりで、征治が入ったことで助かったとばかりに本業に専念し始めたからだ。
今は売り上げの種類も多岐にわたり、資金繰りも複雑化しているので、金に関することは専任の者がいるし、広報と営業を担当する者もいる。
ただ、社長の山瀬が秘書としてというより、相談相手として征治を多用するので結果的に社内の全般に首を突っ込む結果になっていた。
熱くなりがちな社長の手綱を握る冷静沈着な秘書として、特にやっかみなどは受けていない気はするが、ユニコルノが今後もっと大きくなれば考えなければいけないだろう。
どうも山瀬は自分に甘い気がするのだ。
秦野青嵐との顔合わせの前日、征治は出張先の北海道で足止めを食らっていた。季節外れの暴風雪により、航空機が飛ばなくなってしまったのだ。
社長に明日の朝、飛行機が飛び次第東京へ戻ると連絡を入れる。場合によっては打ち合わせに間に合わないかもしれない。代わりの者に同行してもらうべきだろうか。
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