第一章 幽霊タクシー

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 晴比古の視線を感じて、幕田が言う。 「おばあちゃん、昔、校長先生やってたんです。  定年してからも働いて……」  チラと祖母に見られただけで、幕田は黙った。  慕ってもいるようだが、やはり、怖いばあさんのようだった。 「先生、まだ此処におるかね」 「いや、そろそろ」  宿の方もやるとなると、一度帰った方がいいかと思い、そう言うと、 「そうか。  じゃあ、急いで持ってこよう、おはぎを」 と言って戻っていった。
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