第一章 幽霊タクシー

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   宿に着いた幕田は知り合いの刑事が居たらしく、そっちに行って話を聞いてくると言った。  菜切はタクシーを止め、 「大変でしたねー」 と言いながら、フロントの女性たちと楽しそうに話している。  ……仕事しろ。  そのとき、志貴が奥から現れた。  初めて志貴を見た幕田は、驚いたように振り返り見ている。  そんな人の反応には慣れっこな志貴は気にするでもなく、 「深鈴」 と彼女に呼びかけたあとで、 「先生、仏像の方はどうでしたか?」 と訊いてきた。 「いや、それが、こっちの事件をやれと向こうで依頼されて、追い返された」 「なんでですか?」 「昔の殺人事件がどうとか言ってたな。  そっちはなにか……」  進展あったか、と訊こうと思ったのだが、何故か側に幕田が張り付いてくる。
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