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「あの、先生、その方は?」
「ああ、こいつは……」
と説明しかけ、いつの間にか、志貴側に立っている深鈴に、何故、こっちに立たん、とどうでもいいことで腹を立て、つるっとほんとのことを言ってしまう。
「……深鈴の彼氏だ」
えええええっ!?
幕田の悲鳴に、菜切たちも刑事たちもみな振り返る。
「何故ですかっ!」
「いや、何故ですかって、お前、おかしいだろう」
今の言葉への問いかけとして。
「せ、せめて先生だと思ってました。
深鈴さんの彼氏」
せめて先生ってなんだ……? と思っていると、
「せめて先生なら、まだ付け入る隙もあったのにっ」
と嘆き始める。
「帰れ、幕田」
とうるさい幕田の首根っこを掴んで、外に出そうとしたとき、
「兄貴っ!」
とロビーに響き渡る声がし、志貴がぎくりと振り返る。
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