第一章 幽霊タクシー

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「副支配人ということは、犯人じゃないですかね?」 と小声で幕田が囁いてくる。 「支配人になりたくて殺したんです。  二時間サスペンスなら、大抵そうです」 「お前、本人前にして、なに言ってるんだ」  幾ら小声でも、これだけ近ければ、丸聞こえだ。  新田はこちらを見、苦笑いしている。 「ところで、兄貴って誰だったんですか?」 「……志貴なんじゃないか?  なんか絡まれてるから」  西島俊哉は、服装に対する新田の忠告も、 「なにしましょうか、兄貴っ」 と仔犬のように志貴にまとわりついて聞いていない。  新田は溜息をついて、行ってしまった。
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