第一章 幽霊タクシー

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「まあ、酒も薬ってのもわかんなくもないですけど。  じいちゃんが言ってました。  人はなんでも自分に都合のいいように解釈するもんだって」  おや。  見た目と言動はあれだが、中身はそうおかしな奴ではないらしいと気づいた。 「ふうん。  じいさんがね」 とちょっと微笑ましく呟くと、 「俺、じいちゃんっ子なんで」 と俊哉は、ちょっと照れたように笑う。 「じいさんって……」  今、なにやってんだ? と訊こうとした。  こいつのじいさんって何歳くらいだろ、と思ったからだ。  さっきの意外に若い幕田の祖母を思い出したからだろう。  そのとき、いつの間にか側に来ていた菜切が小声で言ってきた。 「西島英晴(ひではる)議員です」  そういえば、テレビで名前を聞いたことがある。 「……この孫はヤバくはないのか?」
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