第一章 幽霊タクシー

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「狸が集団で疾走するのかっていうような広い道もあったしな」  街から来るのに楽そうだ。  人口少なそうなのに。  地元出身の国会議員とか居るからだろうかな、と思っていると、 「あの道は実は、西島先生の……」 と菜切が語り出す。  いや、いいから、とそれを止めた。  ジイさんが何者でも、とりあえず、あいつは、ちょっと人のいいヤンキーかチンピラにしか見えないから、別にいい。  ふと気づくと、さっきのフロントの女性客がチラチラとこちらを見ている。  おそらく志貴を見てるんだろうな、と思い、深鈴を窺ったが、深鈴は何故か、彼女らではなく、掃除のおばちゃんについていった俊哉を気にしていた。  俊哉の消えた廊下を見据え、 「彼は私の敵ですね」 と呟く。  何故だ……。
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