677人が本棚に入れています
本棚に追加
/477ページ
「狸が集団で疾走するのかっていうような広い道もあったしな」
街から来るのに楽そうだ。
人口少なそうなのに。
地元出身の国会議員とか居るからだろうかな、と思っていると、
「あの道は実は、西島先生の……」
と菜切が語り出す。
いや、いいから、とそれを止めた。
ジイさんが何者でも、とりあえず、あいつは、ちょっと人のいいヤンキーかチンピラにしか見えないから、別にいい。
ふと気づくと、さっきのフロントの女性客がチラチラとこちらを見ている。
おそらく志貴を見てるんだろうな、と思い、深鈴を窺ったが、深鈴は何故か、彼女らではなく、掃除のおばちゃんについていった俊哉を気にしていた。
俊哉の消えた廊下を見据え、
「彼は私の敵ですね」
と呟く。
何故だ……。
最初のコメントを投稿しよう!