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「じゃあ、どうもお世話になりました」
そう深鈴が見送りに出てくれた従業員たちに頭を下げる。
晴比古たちは朝、宿を発つことになった。
ハルたちも見送りに来てくれている。
「なんか結局、ばあさん……ハルさんにいいように振り回されて終わったような」
と晴比古が呟くと、
「まあ、また来なさい。
ぼたもち作っておくから」
とハルは笑っていた。
ハルの持っていたあの傘は佐久間に返したらしい。
佐久間は自分への戒めのために、喫茶店の傘立てにあれを差しているそうだ。
「先生、ぜひ、今度遊びに行かせてくださいね、事務所」
と笑って俊哉が言ってくる。
そして、志貴を見、
「兄貴も行かせてくださいね、ケーサツ」
と言って、志貴に、
「いやそこ、遊びに行くとこじゃないから」
と苦笑いして言われていた。
いや……うちの事務所も遊びに来るところじゃないんだが……。
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