681人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで?」
座敷で定行は晴比古に訊いてきた。
「そのホテルの事件はどうする気じゃ」
「どうもこうも、俺は警察じゃない。
依頼されなきゃ、首突っ込む義理もないし」
と言いかけると、
「じゃあ、わしが依頼しよう」
と定行が言ってきた。
「金ならある」
と床の間から、古いツボを持ってくる。
パカッと木の蓋をあけると、百円玉が小判のようにぎっちり詰まっていた。
「五百円じゃねえのかよ」
「何年かけて貯めたと思っとるんじゃ。
五百円、当時なかったわい」
「……いつから貯めてんだ、ジイさん」
そんなもの貰えない、と晴比古は言った。
「念がこもってそうだからな」
最初のコメントを投稿しよう!