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「じゃあ、こっちをやろう」
と定行は古い和ダンスの引き出しから、封筒を出してくる。
「わしの年金じゃ」
と震える手で出してきた。
「余計貰えるかーっ。
っていうか、そもそも、死にかけのジジイから、そんなに貰えるかっ」
そのとき、庭先から声がした。
「じゃあ、このババアから取れ」
振り返ると、見たことのないおばさんと幕田がこちらを覗いていた。
「おお、ハルさん」
とジジイが立ち上がる。
「元気かの。
ありがとう。
いい探偵さんを紹介してくれて」
これが幕田のばあさんか、と気がついた。
ばあさんと言っても、まだまだ若い。
まあ、幕田も若いからそんなものかと思った。
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