3人が本棚に入れています
本棚に追加
私の願った"治す"は、料理上手や頭がいいなんて言う理想もあるが、以外は全て幼馴染だった頃の、一緒におママごとをしていた時に見た様な昔の健二との生活そのもののはずだった。ただ、今のスペックで、昔の健二そのものの行動をする事がこんなに恐ろしいとは夢にも思わなかった。なんというか、無垢すぎる。羞恥心がなくて、周りが見えていなくて、素敵は素敵だけども、危うすぎるのだ。
このままでは私達はバカップル決定だが、今の健二にそれを説明するのは無理だろう。事前に阻止しようにも今の健二のピュア過ぎる発想は私の理解を超えている。そう、一瞬でも目を離せば何をするか……いや、もしかしたらすでに、私が寝ている間だって……と、そこまで考えて一つ、ベタな危惧が過ぎった。
晴香「……因みに、私は健二にどやって連れて来られたんですか……?」
そう言うと、保険医がニヤける。
保険医「ドラマとかでたまに見る奴だったよ。ほら、あの……」
晴香「分かりました。もう何も言わないで……」
色々な意味で傷心だった私だが、うちは精神科じゃねぇと言った保険医に追い出され教室に向かって歩いた。道行く生徒が妙にこっちを見る。どうやら完全に手遅れらしく……
優「よっ、姫!!元気出たか?」
親友の第一声に心を砕かれた。
未央「晴ちゃんどうしたん?と、言うか彼氏さんがどうかしたんかな??」
晴香「……うん、色々、色々あったの」
引きつった笑みで私はそう言うしかなかった。元の健二に受けた事も、非合法な病院にいった事も、どう切り出す事も出来ず、そう言った私に2人は何も言わずに肩を叩いて、他愛ない他の会話を選んでくれたのだが……昼休みになれば、また次の問題が起きる。
健二「晴ちゃん!お弁当持ってきたよ」
脳裏に過るのはあの備考の料理上手の項目。
晴香「……わぁ……」
自分でも驚くほど低い声が出た。
最初のコメントを投稿しよう!