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晴香「ワガママ……ばかりだね……私」
健二「そっか……じゃあ仕方ないね」
残念そうに笑って、健二はポケットから薬を取り出し口に運んだ。口内で響いたカリっという音とほぼ同時に、健二の雰囲気が変わるのが分かった。そして、健二は少し照れながら言う。
健二「俺はそれでも晴香が好きだよ」
私は健二に抱きとめられ盛大に泣いた。泣いて、泣き疲れて、健二の背で眠ったまま家に帰った。眠った私を家に帰えした健二は掛け布団をかけて帰っていったらしい。布団は縦横逆で掛けられていて、それに苦笑する。今回の件で、前の様な大げさでは無いけど健二は少し私を大切にしてくれる様になった。
学校では再び豹変した健二にみんなが驚いたが、悪いものでも食べていたんだろうという笑い話だけを残して、私が作ってしまった理想の彼氏の記憶は誰も気に留めなくなっていったが、健二はこっそり料理や勉強にも力を入れているらしい。ただ、ようやくゆで卵の作り方を覚えた彼が自力で私の理想を実現出来るのは何年も先だと思う。時間にしてたった一月の事だった。私も彼も反省する事は多い一月だったと思う。
決して良いことではなかったかもしれない。でもその過ちが私に教えてくれたことがある。私は織田健二の性格が好きなのだ。そして、彼も私の事を好いていてくれる。
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