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晴香「……これ……あ!?」
あまりの待遇に健二を直視出来ず、赤らむ頬を隠す事も出来ずに手を繋いで道を歩く。歩きながら思い出す。あぁ、確かに書いた。あの白医院で、催眠術の備考に書き込んだ理想の彼氏像……
【素直、優しい、料理上手、頭がいい、私を大切にしてくれる】
【私を大切にしてくれる】
弾ける程に頬が赤らむが、自覚してしまった。
晴香「あ……これ、私のせいだ」
やり場のない羞恥心を堪えて手を握る。顔は、相変わらずの健二なのだけど……
健二「ん?晴ちゃんどうしたの?熱でもある?」
晴香「!?!?!!?」
態度が違うだけでこうも変わるものだろうか。手を引かれ、おデコを重ねて熱を測られた瞬間、私の何かが限界を超えたらしい。
晴香(健二のくせに……)
そう思いながらも私は気を失った。
目をさますと、ほのかに香る消毒の匂い。そこは天国で、ある意味地獄だった。
健二「晴ちゃん大丈夫!?」
保険医「ほら、目も覚めたし約束通り教室帰んな」
姉御肌な保険医に蹴り出されるようにして健二が退室していくのを見て、凡その状況を把握する。
晴香(私を大切にしてくれる……凶悪な願いだ)
頭を抱える私をにやにやと見る保険医。
晴香「……私は?」
保険医「家で倒れたのを健二君が連れてきた。あたしとしては健二君の方が色々アブナイ気もしたけど、なんかあったのか?」
晴香「心を入れ替えたそうです……」
保険医「あっそ」
サバサバした性格の保険医で助かったと言うべきだろうか……それにしても、これからどうなるのだろうか。
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