『The Another “Origin”』

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ーーー学校が終わり、その帰り道。 「はあ………しっかし、すっかり見かけなくなっちまったなぁ。ライダーサモンの野良試合。」 前までは必ず1回は盛り上がっているのを見かけた筈なのに。 実際問題、ライダーサモンのプレイヤーはあの事件以来激減しているという噂だ。 しかしその中で、ベルトを持つ戦士達の噂が立っている………、 「全く、本当に特撮染みた事になってんないつの間にか。」 吐き捨てるようにそう呟く輝。 呟いた後、輝は曲がり角を曲がる。 「きゃっ!」 「うおっと…!」 偶然にも誰かとぶつかってしまったらしい。ぶつかった人はそのまま後ろに倒れてしまった。 「すんません……大丈夫っすか?」 輝はその人に手を伸ばす。 背は低く、ショートカットの女性だ。 「いえ、こちらこそ……うんしょ!」 その手を掴み、立ち上がる女性。 「ありがとうございます!ごめんなさい、どこか怪我してないですか?」 「いや、こっちは全然。あんたこそコケたけど大丈夫かよ?」 「大丈夫です。ご心配おかけしました!」 その見た目とは裏腹に、とても大人な対応をする。もしかしたら年上かな? 「あ、先輩、こんなとこにいた……何突っ走っていっちゃってんすかー。」 その女性の後ろから、1人の青年が現れた。 「あ!耶俥君!」 その女の子は、手を振りその青年を呼び掛ける。耶俥、という名前らしい。 「あー……すんません、ウチのわんぱくな妖魅 衣織パイセンがご迷惑かけました?」 「ちょ!なんですかその言い方!」 「いや、ただぶつかっただけなんで大丈夫っすよ」 まるでちょっとしたコントを見ているようだ。 「……アンタ。」 「………ん?な、なんすか?」 耶俥は、輝の顔をじっと見つめる。 「………いや、なんでもない。ごめんな。なんか、ほら、さっさと先生んとこ戻りますよ先輩。」 「あ、ちょ、待って耶俥君!あ、ありがとうございました!」 そそくさと逃げるように耶俥はその場を去り、その後を追いかけるように衣織も走り出しす。 「ちょっと、どうしたんですか耶俥君?」 「いや、別に。」 なんでもない、という訳でもない。 ただ、直感がこう告げていた。 ーーーまた、巡り会うかもしれん、と。 「……やれやれ、面倒な事にならなきゃいいが。」 耶俥 誠司は、気だるそうに呟いた。
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