『The Another “Origin”』

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「……なんだったんだ、あいつ……」 会ったばかりの青年に顔を凝視され、輝は少し戸惑っていた。 戸惑っていたのはそれだけではない。 輝は耶俥の目を見た。 その瞳には、光が宿っていない。虚無と言った方がいい目だった。 まるで、この世の全ては自分には関係なく、どうでもいいような虚ろな目……。 「……ただもんじゃねえな……ありゃあ……」 少し考えたが、それは仕方ない事で首を突っ込んでも仕方ない。 自己完結した輝は足を進めようとすると……… 「ーーーいやはや、お互い色んな出会いがありますなぁ。お兄さん?」 「………ッ!?」 突然聞こえる男の声。その声がした方向へ輝は振り向く。 そこにいたのは、スーツを着た男の姿。 黒いスーツに、腰にホルダーのようなチェーンがぶら下がっており、そこには……いくつかのライダージュエルが収まっていた。 「………あんた………なんなんだ……?」 「そう警戒しなさんな。僕は君に何もしないよ。」 男は、笑顔のまま、何も武器は持ってないよとアピールしてくるように手を振る。 ………その笑顔は、輝にとって薄気味悪さしか感じてこないが。 「………じゃあ何の用だよ。誘拐でもしようもんならちと時間は早すぎんじゃねえか?」 「おやおや、そこまで僕は怪しく見られてるのかいな。悲しいなぁ。でも、僕のようなか弱い人間が君を誘拐なんてとても出来なる気がしない。 ーーーだって、ライダーサモンの野良試合では負け無しやもんなぁ。“鬼の篠原”クン?」 その言葉に、輝の表情は更に曇る。 「………ッテメェ……マジで何もんだ?なんで俺の事知ってんだよ?」 「だって、有名やで君?特にこれと言った大会には出てないけど、指折りの実力者やーっていう噂やで?自分の喧嘩強さも含めて、な。」 飄々としたその男は輝の様子には御構い無しに淡々と喋り出す。 「あぁ、因みに僕は………せやな。『フユキ』と呼んでもらえたらええかな。」 ようやく自分の名前を口にしたフユキ。 輝は、依然警戒を解かない。
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