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「いやいや、何か勿体無い。君のような男は、まだベルトオーナーでは無いなんて。」
「テメェ……何か知ってるのか?」
『ベルトオーナー』。その言葉に引っかかる。
「君程の逸材が、まだこんな所で転がっているとは。実に勿体無い。」
フユキは輝の言葉には耳を傾けず、喋り出す。
「おい……!!」
「君が中学時代、“鬼”へと堕ちた訳。そしてそこから救ってくれた恩人との出会い。そして………自分のせいで酷い事になった、その鬼へと堕ちる事になった理由でもあるとある“少女”との出会い。その出会いのお陰で今の君がある。今の君が売られた喧嘩を買う程度まで戻してくれた出会いがあるからこそ……君は再び、“仮面ライダー”に憧れるようになった。」
「ーーーッ!!!!」
即座、輝はフユキに殴り掛かる。
だがその拳は届かず、フユキはその場から飛び、輝の肩に手を置きながらそのまま勢いに任せて着地し離れる。
輝の息は乱れていた。それは……いきなり自身の過去を掘り出された事に対する、怒り。
自分の犯した過ちを、赤の他人により暴露された。
その時の輝の頭の中では……小さい時、守ろうとして守れなかった……少女の姿が流れていた。
「ーーーそれだけのバックボーンがあれば、もしかしたらこことは違う別の世界では、この世界のライダー、リベルのように、君も、仮面ライダーだったのかもしれないねぇ。」
ーーー何処か、その言葉が意味深に聞こえた。
「だったらなんだよ………ならテメェが、今出回っているベルトをくれるっていうのか?」
「………是非そうしてみたいんやけど。残念ながらこの通り手ぶらなもんでそれは出来ないなぁ。いやいや残念。」
「じゃあテメェは一体なんなんだよッ!!」
怒号が降り注いだ。
しかし、フユキは何も動じない。
「………別に大層なもんやないで?言うならば、僕は君のファン、なんて言い方がええのかなぁ。」
「……こんな気持ち悪りぃファンなんかいらねえよ。」
「おお怖い。気分悪くさせてごめんなぁ。せや、お詫びとして………これをプレゼント。」
フユキは2つ、ジュエルを取り出し、輝に投げ渡す。
輝はそれをキャッチする。
「………ッ!?これは………!?」
ーーーそのジュエルに描かれていたのは、『マッハ』、そして、『デッドヒートマッハ』の姿だった。
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