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これが、3年前の彼との出会い。けして消えない私の最初の罪の話だ。
「だいぶうなされてたね。夢でも見てたのかい?」
「……ええ、一番最悪なのをね」
私はいつの間にか体を預けてたソファから立ち上がり頭を押さえる。
話しかけてきた男の名前はリョウマ。爽やかな笑顔だが、まあ……腹黒い男なので笑顔は宛にしない事にしてる。
「それで……わざわざ私の借りてる部屋まで来て何の用?」
「お、話が早くて助かるよ!!」
そう言ってリョウマは ソファに勢い良く座り込みながら、一枚の資料をの取り出して、私に差し出す。
「……成る程。裏切り者を私に処理しろと」
「ああ、生憎僕は今回の相手とは同期でね。認めてただけに惜しい男だよ」
私が物騒な言葉を使っても特に気にせずにリョウマはにこやかに話す。
まあ、物騒も何も、私が今いる組織はそういう組織だ。
ライダージュエルってのは表では娯楽品で通ってはいるが、その実態はとんでもない。
ジュエル自体にライダー、怪人の力が宿ってるなんて、信じられない話。しかし、それが事実なのを私は既に身をもって知っている。
そして、この世界におけるライダーは特撮だ。だが、このジュエルには平行世界に実在する本物のライダー達の力が封じられてる
大雑把な話、そのライダージュエルの流通をしてるのがこの組織ってこと。私も最初は平行世界ぐるみでの暗躍を信じきれてはいなかったが……
その証明に『あの男』は私に夢を見せた
『ならば今夜、君の意識だけを誘って上げよう。かの英雄達のいる平行世界にね』
その晩眠りに落ちた私が見たのは、今まで見てきた作品……いや、レンズ越しに切り取った歴史でなく。内側からみる真実の世界。
そして、私の知るライダー物語に当てはまらない
私でない私が、そして彼でない彼が存在する世界
下らない小説みたいだ、そんな感想を抱きながら……私は平行世界の存在を受け入れた。
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