5人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、頼まれてくれるかな?」
「……わかった。やってあげる」
私は壁にかけてあった青いパーカーを着ながら返事をする。断る理由が私にはなかったというのが理由だった。
「実に頼もしいね。やっぱり君を引き入れた私の目に狂いは……」
「リョウマ、貴方私と会ってどれくらい経った?」
「ん?そうだねぇ……。約半年かな?それがどうしたんだい?」
話を遮ってまでするような話ではないんだが、話ても損はないだろう
「いえ、ただ私に深入りするとろくな事がないってだけ……」
「それは、君と会った夜に死なせてしまった友達のことかい?」
一瞬だけ強ばった顔を戻して小さくため息をして気持ちを落ち着けるながら資料を鞄にしまう
彼は私の二つ目の罪で、この組織にいることになるきっかけだ
「ええ、友達ではないけどそれで合ってる」
「ふむ。なら私もせいぜい気を付けるとしよう。さて、じゃあ頼んだよ 『氷の女王様』」
最後に下らない皮肉を残して彼は部屋を出ていった。全く……ジュエルは氷のなんてまわってこないのに
そんな愚痴を内心で溢しながら、私は引き出しを開けて、その奥で保管してあったペンダントを取り出すと首にかけて本体を服の中に隠す。
(さて………貴方は私の罪?それとも罰?)
準備は終わった。さあ、裏切り者に会いに行こう。それが、私にとっての何者になるのかに思いを馳せ、私もまた部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!