1章 私の罪 前編

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あれから2日後 「別に大した怪我じゃ無かったんだ。気にしなくていいのに」 「いえ、気にします。大きくても小さくても怪我は怪我ですし」 譲らない私の態度に藤花さんは困ったなと頭をかく 結局あの男は見つからず、念のため昨日は1日家にいた。警察の報告によると男の自宅も確認してくれたみたいだが、既にもぬけの殻って奴で……逃げた可能性高し、とのことだ なので、私はこうして藤花さんに連絡をとり、カフェに呼び出したのだ。今日は日曜なので部活も休み……まあ、あっても此方を優先してサボるんだろうけど 「わかったよ。有り難く、奢って貰おうかな」 漸く観念した藤花さんはメニューを手に取る。私はテーブルの下でこっそりガッツポーズをした ………… 「へえ、う……夏樹はそんなに速いんだ」 「泳ぐのだけが取り柄なんですよ、私……あ!馬鹿って意味ではないですよ!?勉強だって普通には出来てるんですから!」 主に私からなんだけど、色々互いの事を訊いた。 彼は私より7つ年上の23歳だったので、名字でなく、呼び捨てにするように『少しだけ』強引に頼み込んだ。 ちなみにではあるが、私は泳ぎに関しては本当に速い。これに関しては全国クラスの選手だと自他共に認めている。 「泳ぐのは好きなの?」 「そうですね。ちっちゃい頃から海も泳ぐのも好きだったから……部活も趣味の延長って感じですし」 あれ?気付けば上手く私ばかりが喋らされてる? 「趣味と言えば、藤花さんは何か趣味とかあったりしないんですか?」 聞き手に回ろうとして何気ない質問をすると、意外にも彼は少し迷ったように小さく唸って考え込む 「んーーー。夏樹」 「はい?」 「なんて答えても笑わない?引かない?」 真剣な顔で私を警戒するように覗き込んでくる藤花さん。いや男前ですが、その顔で一体なんと言うつもりなんでしょうか 「ど、努力します。バッチコイっ」 と、咄嗟に私も背筋を伸ばして聞く体制になる。 「よし。俺はーー 仮面ライダーが大、好きなんだ」 本当に無駄にシリアスな顔で彼は言葉を発するのだった。
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