1章 私の罪 前編

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「仮面ライダーですか?」 「そう、日曜の朝やってる」 ああ、まあ……なんて言うか 「普通、じゃないですか?」 と、素直にそう思った。 「そ、そう?子供っぽいとか思わない?」 「私は観たことありませんけど……クラスの男子は結構観てますし、女子の間でも特に俳優の話で盛り上がったりしてますよ」 それに、心なしか去年位からその手の話題が増えて来た気がする……多分、観たことない私の方がクラスでは少数派になりつつ在るのではないだろうか 「なんですっけ、あのオモチャみたいなのが出てから特に。えっと……えっと」 「ああ、多分……ライダージュエル、かな?」 確かにそんな名前だった。男子が昼休みに教師の目を忍んで遊んでいたものはそんな名前だった。 「確かに。ライダージュエルが出回るようになってからは仮面ライダーに感心のある人が増えて来たね 出回り初めたのが一年前だけど、それまでは中々同じ趣味の仲間を見つけるのも……」 そこから彼はライダージュエルに関しての簡単な説明をしてくれた。 なるほど、ライダーとその敵の怪人のデータを登録したのが『ライダージュエル』で、立体映像のライダーや怪人を戦わせるゲームだったんだ 「って、感じなんだけど………って、ごめんね。興味ない話されてもつまらないよね」 「え?いえ全然。寧ろ、お話を聞いてたらやってみたくなりました。あー、でも観たことないのにやってもわかんないかなぁーなんて」 と、私がケーキを口に運びながらさて、どうしたものかと考えると名案が思い浮かぶ 「あ、そうだ。私今日からレンタルしてライダーを見始めますんで、ある程度見終わったらライダージュエルってのを教えてくださいよ!」 そうだ、これは名案だ。 しいて言うなら、それを口実に彼と話が出来るし会いに行ける……そう言った意味で名案だ 「え……あ……まあ、全然いいけど。頑張ってね?」 この時、彼の笑顔がひきつってた理由を私は、レンタルショップでシリーズの作品の多さを目の当たりにした時になってやっと理解したのだった。
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