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『シャ、シャ、シャウタ!シャ、シャ、シャウタ!』
『Turn up』
光は人の形に、細かいデータを付け加え行くと、頭ををシャチ、胴をウナギ、下半身をタコの意匠であしらった戦士の背中が現れる
彼の前にもカブト虫、そしてスペードをモチーフとした戦士が刃を構えて佇んでいた
「さて、ここからは彼らの戦いだ……ブレイド!!」
「え、えっと……行って!!」
私達の掛け声が合図となって
データとは思えないような迫力で二人は互いの肉体を、そして武具をぶつけ合っていく。
左右から迫る雷を纏った鞭を同じく雷を纏った剣で 迎撃し、接近して鋭い一閃で切り伏せられた
「え?嘘?終わり?」
片膝をついてしまった戦士に思わず心の声がもれてしまったが、すぐに戦士は立ち上がり地面を蹴り付けると、ブレイドのはなつとどめの一突きに自ら飛び込んで……すり抜けた!?
「液状化、か」
藤花さんが呟いたのが聞こえた。そう言えばそんな能力もあったなと思い出していた所で、飛び上がった空中にて液状化を解いた戦士は両の鞭をブレイドの腕に巻き付けた
あとは一瞬だった。戦士は鞭を引いてブレイド目掛けて自分を引き寄せて、その背目掛けて蹴りを叩き込んだ
鞭による電撃と蹴りのダメージが蓄積したのか、ブレイドは鮮明な映像が剥がれ落ち、やがて人型の靄に変わった後に一時の幻であったと言いたげに私の前から消え去った
「……勝った、んです?」
「ああ、夏樹の勝ちだね。お見事っ」
私のライダーもその場からいなくなると、藤花さんが近づいて来た。
てゆうか、勝ってしまったんだけど……怒ってない、よね?
「って訳で、これがライダージュエルだ。どうだった?」
「リアル過ぎて驚きました。こんなに迫力あるんですね」
良かった。怒ってない……?
こうして、私の初めてのライダージュエルは幕を閉じた訳だ……
「もし良かったら、そのジュエルはあげるよ?」
と、藤花さんがこのジュエルをくれた。
ある意味、彼からの特別な贈り物という事で、私はずっと大事にしますと子供見たいに大声で彼に言った事を今でも覚えてる
情けなくも恋と言う熱と病におかされた、純粋な少女の心からの思いだけど、笑ってくれても構わない
だけど、このジュエルが『特別』なのは彼からの贈り物だからだけではない。私がその事に気づくのは、約2年後の話だ……。
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