最期のレストラン

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次の日は仕込みを手伝った。 でも料理なんて全くしたことがなかったから、玉ねぎの微塵切りで盛大に指を切った。 今まで彼氏がいた事がないから料理を作る機会など無かったのだ。 「わっ、血が出た!」 それに、痛い。 「当たり前だよ。地獄では血も出るし痛みも感じる。天国に行ってしまえば苦痛とはおさらばだけどね」 シムは全然使っていないらしい救急箱を棚の奥から見つけて、その中から絆創膏を取り出した。 滴る血からは生命のエネルギーをこんなにも感じるのに、私は確かに死んでいる。 「天国では痛みを感じないの?」 「ああ、痛みも怒りも悲しみも無い」 「なんかそれって、気持ち悪くない?」 別に痛いのが好きとかいう訳じゃないけど、なにか違う気がする。 「そう思うなら、さっさと転生すれば良い。天国でずっと暮らしている人もいれば、死ぬ度に転生を繰り返す人もいる」 「シムは?」 「ん?」 「シムだって人間でしょ? なんでここでレストランをしているの」
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