最期のレストラン

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程なくしてお客が来店した。 ぼんやりとした存在は、すでに酸や針の雨の影響を受けなくなっているようだった。 たった一つの椅子は、ここへ辿り着いた者の指定席だ。 キャンドルが灯る無音の店内に彼らは本当に自然に溶け込む。 カリカリとさっきまで何かを書き込んでいた鬼も、手を止めて彼の動きをじっと観察している。 人間……だったんだ。 一昨日見たよりも一回り小さい気がして、それこそがこの人の、人間であった頃の面影なのだと思った。 どんな罪を犯して、どれだけ悔いて、後悔して、どれ程の時間をかけてここまで来たのか。 恐怖や苦痛もすっかり抜け落ちて、感情も心も削ぎ落として、辛うじて人としての形を留めているような姿だった。 魂が消え失せる最期、求めるのはなぜ食事なのか? それは一番人間らしい、生き物らしい欲求なのに。 それが報いなのだとしても、魂が消える瞬間はやっぱりどこか切なかった。
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