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「……あいつとメアド交換してたのか?」
「いえ、瀬川さんと交換していたんですが、どうやらリークされてしまったらしく。」
「ちょっと携帯貸してくれないか?」
「……先に言いますけど面倒ですから削除しないでくださいね。」
「…………。」
もしやと思ったがばつの悪そうに目を逸らす蓮様を見て苦笑する。
まあ正直そこまで連絡先が欲しいわけではないのだが、自分の連絡先を相手が知ってるのに自分は知らないというのは少々癪である。それに情報は何であれなくて困ることはあっても、あって困るものではない。
「消さねえから貸してくれ。」
「はあ、どうぞ。」
まあ見られて困るものはないので素直に了承する。少し手に余るほどの大きさのそれを手渡すと、僕よりも幾分か慣れた手つきで操作していく。確か蓮様と僕のスマホは機種が同じだった気がする。
「何してらっしゃるんですか?」
「ちょっと待ってろ……。」
向かい合っているため手の中でどのようなことが行われているかが察することができない。ただ親指の動きを見る限り、なにかを見ているというより打ち込んでいるように思える。一抹の不安がよぎるも、滅多なことにはならないだろうとタカをくくりその様子を眺めていると、気が済んだのか少しだけ口角を上げて僕に返して寄こした。手元を除くと画面には『送信完了』の四文字。
「いやいやいや、完了って……。」
慌ててメールの送信ボックスを確認する。十中八九神楽様に送ったのであろうが、内容が不安すぎる。
『土に還れ。』
……予想通り過ぎる。
「何で僕の携帯で送るんですか……。蓮様も携帯持ってるんですからそっちから送ってくださいよ。」
「俺はあいつのメアド知らないからな。」
文面からして僕からではなく蓮様からだということはわかるだろうが、あの御曹司様に僕名義で喧嘩を売るのは遠慮してくれるとうれしい。凶悪な兄弟喧嘩の火の粉をかぶるのは御免被りたい。以前のような地雷多めの関係でもないので僕はこれ以上介入する必要はないと思っているのに……。
「メール送りたいなら僕の方から神楽様のアドレスを送りましょうか?」
「いらん。あいつの名前を携帯に入れたら携帯が呪われそうだ。」
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